コイケマリンサーベイ合同会社

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積揚げ一貫検定を導入するメリット

まずは喫水検査の利点や問題点を取り上げ、その利点を検証し、またその問題点を改善する中で積揚げ一貫検定を導入するメリットについて説明します。
  1. 喫水検査の利点
  2. 喫水検査は、大きく分けて次の三つの利点があげられます。

    @ 一つ目、世界の多くの国々は海でつながっております。その海の上を自由に航行できる船舶は世界中のどこにいても同じ喫水検査が可能です。

    A 二つ目、船舶という大きな器で貨物積載前後に喫水検査を行い、その排水量差で積載貨物重量を短時間に算出することができます。

    B 三つ目、喫水検査は自然の法則であるアルキメデスの浮力の原理を利用しております。この法則は世界中の誰もが認める自然の原理です。この原理に従って行う喫水検査は、その時の作業環境が良ければ非常に高い精度が得られます。

  3. 喫水検査が抱えている問題点
  4. 一方、喫水検査が抱えている問題点として、次の2点があげられます。

    @ 喫水マークの測読は気象・海象などの作業環境に左右されます。船舶は水上に浮かんでいる大きな器ですので、波浪やうねりの影響をもろに受けます。気象・海象は常時変化しており、10p〜30pの波は常にあります。低気圧の通過等で海上が荒れると水面変動は50p以上にもなり、正確な喫水マークの測読が大変難しくなります。 つまり積地と揚地の水面状態は常に変化しており、その時の喫水検査を行う作業環境はそれに伴い変化し、そのため喫水マークの測読値にバラツキが生じます。またパーソナルエラーの違いや岸壁と水面との段差により生じる視差の違いによっても喫水マークの測読値は変動します。

    A 現在、世界で使用されている海水比重計には2種類あります。一つは相対密度測定用、もう一つは見掛け密度測定用です。日本では主に相対密度測定用の比重計が使用されておりますが、オーストラリアなど世界の多くの国々では見掛け密度測定用の比重計が使用されています。

  5. 喫水検査の問題点を改善するための具体策
  6. 上記の喫水検査の問題点を改善するために、次の2点を導入することが推奨されます。

    @ 喫水マーク測読時に喫水検定器(KENDRAFT)を使用

    世界の様々な国々において、変化する気象・海象の中で水上に浮かんでいる船舶の喫水マークを測読している状況を想像してみてください。例えば、正しい喫水マークの測読値が6m83cmだったとします。海上が穏やかであれば6m83cmと測読できるかもしれませんが、海上が荒れると6m81cmとか6m85cmとか2p以上の差異が出ることがしばしばあります。しかしながら、KENDRAFTを使用すれば、どのような気象・海象の中であっても下記の動画のように同じ測読値6m83cmを得ることができます。

    通常、喫水マークの測読時に積地と揚地において次の3点の違いが発生します。

    一つ目:気象・海象の変化による水面状態の違い

    二つ目:パーソナルエラーによる違い

    三つ目:船舶が着岸している岸壁状況から生じる視差の違い

    以上の様々な違いがある作業環境の中で行われる喫水マークの測読値には常にバラツキがあるのが現状です。そこを科学的かつ合理的な現場対応にすれば測読値のバラツキを小さくすることができます。現在の様々な違いのある現場対応を科学的でしかも合理的な対応に変えるのにKENDRAFTの使用は大変効果的です。
    詳細はこちらをご参照ください。

    A 積地と揚地とで同一タイプの海水比重計を使用

    海水比重計が世界的に統一されるのがベストですが、これには各国の事情があり調整するのに時間がかかります。当面、積地と揚地とで同タイプの比重計の使用をルール化し数量差を改善する必要があります。
    詳細はこちらをご参照ください。

    以上2点の対応(積揚げ一貫検定)を現行の物流の中に導入することにより、現場対応が科学的かつ合理的なものとなり今まで発生していた積地/揚地間の数量差が大幅に改善されます。

  7. 積揚げ一貫検定を導入するメリット
  8. 大量のドライバルク貨物の数量決定方法として、一般的に喫水検査と陸上スケールの二つの方法があります。どちらの方法を採用するかは貨物の種類や長年の商習慣などによりますが、主要ドライバルク貨物の場合、鉄鉱石や石炭は喫水検査、穀物は陸上スケールが主流となっています。そうした中で、陸上スケールで決済されている貨物にショーテージクレームが多いと言われています。このような貨物は貨物単価が高いこともあり、通常、荷主はショーテージ保険を付けています。一般的に、B/L数量に対するショーテージ率がTrade allowanceの0.5%を超えた場合に荷主は損害賠償請求(カーゴクレーム)を起こし、Excess分を除いたショーテージロスがショーテージ保険でカバーされます。

    ショーテージの原因として、積数量不足、海上輸送中の発汗による欠減、海上輸送中のビルジ排出、積揚げ荷役時の粉塵ロス、揚地レシーバーでの数量取り込み等様々考えられます。しかしながら、最も大きい原因は積地/揚地で使用されている陸上スケールの違いから生じる数量差ではないかと考えています。ショーテージロスは積地/揚地間の数量差により発生します。前提条件として、原則、積地数量と揚地数量は同じスケールで測り比較する必要があります。しかしながら、現場の陸上スケールにはホッパースケール、ベルトスケール、トラックスケールなど様々な種類のスケールがあり、またスケールメーカーの違いや国・所有者の管理方法の違いなどがありますので、一概に陸上スケールといっても積地/揚地の陸上スケールそのものは同じではありません。つまり、同じでない陸上スケールで測り、その数量を比較するわけですから数量差が出て当然と言えます。 一方、舶舶は世界のどこにいても同じスケールであり、我々サーベイヤーはその同じスケールを利用して喫水検査を行います。その際、積揚げ一貫検定を導入することにより、水面状態の違い、パーソナルエラーの違い、視差の違い、比重計のタイプの違いなどから生じる現場対応面でのバラツキを小さくすることができ、その結果、積地/揚地間の数量差を大幅に改善するこができます。

    前述のとおり、現行の積地と揚地の陸上スケールによる数量決定方法には同一でない点がいくつかあり、積地数量と揚地数量を比較検証するなかで合理性に欠ける部分が必ず生じます。そうした中で、船舶による積揚げ一貫検定を導入することで陸上スケールの合理性に欠ける部分を補完し、ショーテージクレームの発生を防止するための仕組みを創出します。